2009年4月24日金曜日

quantたち

先月、研究室合同の卒業・修了を祝う会があった。みなさん、某JRや某大手電機メーカに就職が決まった。中には銀行に就職を決めた者もいる。理系の需要が金融機関にあるのだろう。



�� * *



��970年代後半から、実に多くの物理屋がウォールストリートに職を求めた。彼ら、彼女らは、専門の物理を捨ててファイナンスの世界へと飛び込んだのである。金融界に新境地を見いだすために。


ここで言う「物理屋」とは物理を専門とする研究者達のことを指している。もちろん「屋」というところには、良くも悪くも、ある種のプライドと若干の自虐的な響きがこめられている。



素粒子、宇宙論、固体物理学、電磁気学、生物物理、物理化学、・・・考えてみれば「物理学」という学問の裾野のなんとひろいことか。物理を志す研究者たち の情熱の多くは新しい「物理」を切り開くことに注がれてきた。学問の裾野を開拓し、育て、やがては一つの分野として成立するまでに。



物理屋は一般にモデル化が得意だ。複雑な事象を観察し、原理原則に立ち返って解釈を試みる。何か事象があったとする。とりあえず、それを「支配している法 則」を仮定する。つぎにそれを使って予測・予言を試みる。それが、ある程度の普遍性をもって成立すれば、その法則が確立されたと見なす。そうでなければ、 仮定にたちかえり修正を加える。あるいは全く新たな法則を仮定する。改善された法則を使って、再び事象の予測・予言を試み、実証試験を行う。科学が成立し ていく行程そのものである。



この方法論の強力なところは基礎理論の確立がなされる点にある。それは今現在、単に、目先の事象を説明するものであってもかまわない。極論すれば、「証明されていないが、かなりの確度で信頼できる」ものであって良い。なぜならその意義は、人類がこれから生きていく中での莫大な応用の可能性によって未来に証明されるからだ。



N.Y. TimesのDennis Overbyeによる解説”Physicists Failed To Beat the Market”によると、物理の世界の出身者でウォールストリートに職を得た者は、今現在、約千人はいるようだ。彼ら彼女らはquantsと呼ばれる。quantitativeに、定量的に解析するのが得意なのがその理由である。



quantの思考回路の帰結として当然であるが、とにもかくにも複雑な経済の事象を物理的に解釈することを試みる。市場の動向を支配する原理・原則を仮定し、それをもとに「万能な金融モデル」らしきものを構築する。社の内外の開発部隊にレシピを渡し、複雑なコンピュータプログラムを完成させる。プログラミングが得意なquantだったら自らコーディングをするだろう。

2009年4月12日日曜日

ElvisとBilly

10kmの皇居RUNは無事に終了。600m歩いてランステ麹町に到着。シャワーを浴びて一息つく。

ロッカールームは機能的に作られている。ただ上下二段になっているロッカーの配置は若干危険である。上段のロッカーの扉があけっぱなしになっている状態で下段のロッカーを使うために腰をかがめ、その後、起き上がるときに開いている上段のロッカーの扉の下端に頭をぶつけてしまうことが良くあるのだ。これはもう構造的欠陥である。せいぜい10分ほどの間に、そのような不幸な状況に陥った利用者を二名ほど見かけた。私自身を含めると計3人ですが・・・。

設定料金が高いか安いかは、そのときのお財布との相談次第だろう。

ここにはランニングが好きな人が集まるので「得られにくい情報」の収集に役立つ、などと言った、目に見えないメリットを込みで考えると、もちろん断然安いと断言できる。このような施設、あちこちにできるとありがたい。

Elvis PresleyのHeart Break Hotelを聞きながら電車に乗り込み、日暮里のホテルへと帰る。その夜はサッポロビールで祝杯をあげた。

rikkyou.JPG翌日、物理学会参加のため電車を乗り継ぎ池袋へ。立教大学に出向く。ツタの絡まる煉瓦の建物が趣を醸し出している。電子構造関係に関する議論がなされている会場をメインに、実験系を含め面白そうなトピックスを扱っている会場を幾つかつまみ食いする。お昼に学食で「アイビー」なる定食をいただく。ごく普通の、つまり、お値段は安いがカロリーが若干高めの、普通の定食でした。

ディープな議論が続いた学会の後、高い煙突が目印の池袋スポーツセンター、通称、池袋スポに直行する。ここには各種のトレーニングマシンのほか、ゴミ焼却の余熱を利用した全長25mの温水プールも備えられている。それでいて入会金不要、都度利用で700円。実は「学会が終わったら池スポ」のつもりで、ウェアとシューズを当初から持参してきていたのだ。池スポを利用するのはこれが初めてではない。昨年の暮れ、ある研究会に参加するため上京した折にも利用させていただいた。ついでに白状しておくと、他には新宿スポーツセンターなどにも御世話になっている。

昨日のランニングの疲れがやや残っていたので、トレッドミル(ランニングマシーン)を敬遠しておく。かわりにSTARTRACのトータルボディトレーナーを試してみる。このマシン、立ったまま両足をペダルに乗せ、本体から突き出ている長い二本のハンドルを握るのだ。運動するときは足と手を連動させて大股でペダルを漕ぐ。運動中は足がペダルに固定された状態が維持されるので、ランニングのときのような着地の衝撃を足に受けなくても済む。それでいて、かなりきつめのプログラムを組むことができる。関節に疲労が残っているときにぴったりのトレーニングマシンである。メニューに添って徐々に負荷をあげていく。30分も経過したころには、相当な汗をかくことができた。

次は筋トレだ。居並ぶマグナム製のマシンを順に使用して体の各部位のトレーニングをする。およそ終わったところで上階のプールに移動する。清潔で使い勝手も良い。ただ、一時間ごとの「休憩タイム」にはまいってしまった。もっと泳ぎたい時であっても、休息タイムの時には強制的にプールから追い出されてしまうのだ。安全を考慮してのことなのであろう。少々混んでいて、長々とコースを占有するわけにもいかない。最後に30分ほどのクロールで切り上げた。シャワーを浴びて着替える。続け様にポカリとアミノバリューをゴクゴク飲み干す。心地よい疲労感に体が包まれる。

Billy JoelのMovin' Outを聞きながら電車を乗り継ぎ、日暮里のホテルへと帰る。その夜はチリの赤ワインで祝杯をあげた。

2009年4月1日水曜日

ランステ麹町

gakkai.JPG日本物理学会に参加するため、立教大学に行ってきた。











開会前日の26日は移動日である。新幹線に乗り一路東京へ。山手線に乗り換え日暮里に急ぐ。駅をおりて徒歩で数分、目的のホテルに到着する。チェックインの後、大方の荷物をフロントに預けて、そそくさと駅に取って返す。目指すは四谷。神田で中央線に乗り換える。四谷駅でおりてしばらく歩くと、お目当ての「ランステ麹町」に到着する。runste.JPG




ここはランナーにとってオアシスともいうべき場所だ。荷物を預けることができるロッカーがあるし、なによりも走り終わった後でシャワーを浴びることができる。ランステにチェックインをして簡単な説明を受ける。奥のロッカールームに移動し、いつものスポーティーなタイツとシャツに着替えた。携帯ケースに格納したデジカメをベルトで腰に固定する。iPodナノを首から提げたネームプレートに入れ、耳掛け式のステレオイヤフォンを装着する。準備万端、やっと、あこがれの皇居で走ることができる・・・。しみじみと感慨にひたりつつ、ランステを飛び出し皇居に向けて足を進めたのであった。



しかし皇居までの距離、約600mが長いこと長いこと。普段ならば、たいした距離でもなんでもない、たったの600mほどだ。今の場合、何が問題なのかというと、ランニング用に着ているタイツとシャツの衣装が他の一般の歩行者の衣装と著しく異なるため、衆目を一身に集めている、ような気がすることが、若干問題なのだ。なんとも違和感があって、有り体に言うと少々気恥ずかしい。



しかしここは思い切りが必要。やりたいこと、楽しいことを実現するためには、それなりの思い切りが無ければできない。これだって、いつもの400mの陸上トラックでは「制服」なのだから、と自分に言い聞かせつつ、無理に平然を装い歩みを進める。



しばらくして半蔵門に到着。桜の季節、観光客も多い。とりあえず、反時計回りに皇居周辺をゆっくりと走る。国立劇場や最高裁、堀の佇まい、景色が素晴らしい。ときどき立ち止まって腰に固定した携帯ケースからデジカメを取りだし、ぱちぱちと写真を撮りまくる。次いで桜田門をくぐり竹橋へ。あっというまに、一周5kmのジョグをこなしてしまった。



koukyo.JPG



さっそく二週目に突入。こんどはRUNに集中し、少々スピードアップを図る。キロ5分のペースで走る。



つづく

2009年3月17日火曜日

環境整備

このところ、オーダーメイドPCショップのUNIVで購入したDOS/Vマシンの整備に追われている。UNI-i7X/Silentをベースにしたカスタマイズバージョンだ。メモリは12GB、ディスクは1.2TBだ。ネイティブクアッドCPUの Core i7 Extream(Nehalem) を搭載している。

ここ一週間の整備作業をメモしておく。最初にインストールするOSを選ばなければならないのであるが、私にとっての選択肢は一つしかない。そう、もちろんLinuxである。今回は、特に開発環境を整えたい、との野望があったので、インストールされるパッケージ類が充実したディストリビューションを物色してみる。しかし最近のディストリビューションは、どれも良くできている様子。いろいろ悩むよりも適当にやってみるのが一番。とりあえず、ある雑誌で一番人気と紹介されていたLinuxディストリビューションのUbuntuを試してみることにする。DVDから起動できるようにBIOSを設定し、インストーラDVDをドライブに挿入してリセットをかける。インストーラの質問事項に適当に答えて無事インストールが終了。システムにログインする。なにかしっくり来ない、少々やりにくいのだ。

慣れるまでに時間がかかりそうなので、さっさとUbuntuをあきらめる。なにしろ優秀なディストリビューションは他にもある。そのなかから気に入ったものを選べば良い。

「なんて素晴らしい時代になったことか・・・」

しばらく感慨にふけりつつ、おもむろに1.2TBのディスクをフォーマットする。FedoraのインストーラDVDをドライブにぶち込みシステムをリセット。同じようにインストール作業を遂行する。再起動してログインする。なんとなく気に入ったので、これで行くこととし、早速環境整備にとりかかる。なにはともあれemacsとTeXだ。これがなければ話しにならない。おつぎはgcc関連のライブラリや開発環境。インテルのコンパイラーも忘れてはいけない。早速インテルのページに行きアカデミック版を取り寄せる。インストールしてみるとファイヤーウォールが何タラというおかしなメッセージが表示され、そのままでは動作しない。やむなくマシンのセキュリティレベルを少し下げて運用することにする。さらに数値演算ライブラリとc++コンパイラもインストールしておく。コンパイルに問題が無いようなので次の作業に移る。並列計算環境を整えるためMPICHを探す。検索をかけてみるとMPICH2と2がついた新バージョンになっているようだ。

「しばらく遠ざかっているうちに世界は進んでいる・・・、なんて素晴らしいのか・・・」

感慨にふけりつつ、早速ダウンロードしてきてmake、make install。ここまできて、やっと仕事で使う電子構造計算パッケージのコンパイルができるようになった。ソースコードを展開しライブラリを構築する。並列計算ができるようにmpichでコンパイル。ここで若干紆余曲折があるが、それはそれ、なんとかなる。まぁ、なんとかなった。ついでにOpenGL関連のパッケージ、MesaとかGlutもインストール。今日は、ずいぶん昔に卒業していった学生が作ってくれた電子構造表示ソフトのMakefileとソースをちょこちょこと書き直し、無事コンパイルできるところまで持っていく。動作チェックしてみると問題なく動く。素晴らしい・・・。

かなりの充実感をもてたインストール作業でした。

写真は並列計算中のシステムモニタのクリップ。
system.jpeg搭載された8個のCPUが仲良く頑張って並列計算をしている様子がわかる。この計算では4Gバイトのメモリが使われている。



2009年3月5日木曜日

持久力

持久力がついてきたようだ。10kまでのランニングなら、普通にこなすことができる。



走るときは体にピタッとフィットするランニングタイツとシャツを着込む。一見、寒そうに見えるかもしれない。しかし二重にこれらを纏えば、たとえ吹雪の中でも走ることができる。




二重に着込むことで保温力が増すのだ。全身の筋肉を締め付けられ、まるでサポーターに身を包まれているかのような感覚だ。ウインドウブレーカーは必要ない。走って10分もすれば、体中にじわっと汗がにじみ出す。ウインドウブレーカーを着ていては、かえって体力を消 耗してしまう。



地面を蹴り上げたとき、空中にある足は地面という支えを失い、慣性の法則に従ってうしろに放り投げられる。このときに関節がぐらつく可能性がある。ランニングタイツが関節をサポートしてくれるおかげスムーズに着地することができる。心なしかフォームも矯正されてきたようだ。



強いて欠点を挙げるとすれば、始めて着るときに、それなりの思い切りが必要・・・ということくらいか。



スポーツドリンクは用意してある。ポカリの1Lボトルに500ml分のパウダーと水を入れてシェイクし、そのまま1〜2時間、冷凍庫で冷やしておくのだ。



紫外線、雨や雪から目を保護するためのランニング仕様のサングラスを装着する。iPodナノを入れたネームプレートを首から提げる。履き慣れたシューズに足を通し、400mトラックへと向かう。既にそこには先客がいる。練習に余念のない陸上の選手達だ。



ポカリのボトルからゴクゴクと飲み込み、そのままトラック脇の雪にボトルを突き刺す。走る気持ちを高めていく。



選手達が皆、素晴らしいスピードでトラックを駆け抜けていく。その端のコースを借りて走るのだ。元より競争できるわけはないのだが、しかし、あまり恥ずかしい走りもできない。かといって無理をして故障してしまっては元も子もない。翌日の負担にならない適度なランニングのピッチを心がけることにする。



今日のBGMは80年代から90年代のロックとポップスのコンピレーション。音楽に合わせてリズムを刻んで足を繰ると自然とピッチも上がってくる。なかでもABBAのDancing Queenのときは、先週見た映画「マンマ・ミーア!」を思い出して、うれしくなり、おもいっきりスパートをかけてしまった。ただし200mだけ。それが限界です。



走りきった後の爽快な気持ちはたとえようがない。

シューズとウェアがあれば、どこだってコースとなる。









2009年2月15日日曜日

タコ焼き風

昨日はタコ焼きを作った。

RIMG0013.JPG

タコ焼き粉に卵と水を加え、ダマにならないよう気をつけながら10分ほど溶く。風味付けにいりこダシ加える。



ついでにキャベツのみじん切りも少々入れる。これでしゃきしゃきとした食感がでてくるのだ。




ネタはタコに限らない。我が家流タコ焼きは、チーズ、ネギ、ソーセージ、ショウガ・・・と、実はタコ以外のネタが多い。それゆえタコ焼き風の無国籍料理である。



じっくりと暖めた象印のホットプレートのタコ焼きの型に生地を大目に流し込む。焼き加減を見て箸でクルッとひっくり返す。ここで生地を足す。しばらくしてから再びクルッとひっくり返す。しばらくすると、まぁるい、まぁるい、タコ焼きのできあがりだ。



ブルドックの「タコ焼きソース」をどばっとふりかけ、かつぶしをパッパッとまぶす。あつあつのうちにかぶりつく。これがうまいのなんの。



冷やしておいた「鷲の尾」の新酒が花を添えてくれた。







2009年2月6日金曜日

Democratic feud

ヘラルドに掲載されたJohn M. Broder氏の記事、Democratic feud hurts Obama’s climate agenda を興味深く読んだ。



オバマ氏は、環境問題、特にCO2を初めとする温室効果ガスの削減を政策の重要課題の一つとして位置づけている。そのため、手始めにCO2のcap and trade制度や、より厳しい車の排ガス規制の導入の認可を行った。



しかしながら、さらなる環境対策を実行に移すためには、現実的に非常な困難が伴うであろう、それも技術的ではなく政治的な意味において・・・というのが記事の趣旨である。



問題は、議員の出身地域にある。




環境問題を声高に主導しているのは、カリフォルニアなどの西海岸地域および北東部沿岸地域出身の議員たちである。中でも、カリフォルニア出身のリベラルな民主党議員、上院のBarbara Boxerと下院のHenry Waxmanは、来るべき環境関連法案の策定において中心的な役割を果たすであろうと目されている。



カリフォルニアは、その電力の20%ほどを石炭に依存しているが、他の40%は水力などの再利用可能なエネルギー源から得ている。その一方で、オハイオ州などは、実に総電力の86%ほども石炭に依存しているのが現状だ。他の地域、例えば五大湖周辺の工業地帯や北米中部も似たような状況にある。これまでも、これからも、エネルギー源を化石燃料に頼らざるを得ない多くの地域にとって、CO2関連の法案は必ずしも歓迎されているものではない。



つまりカリフォルニア州や一部の東海岸地域を除き、他の多くの州においては、雇用を安定させ景気を浮揚させることが解決されなければならない最重要課題なのであって、温室効果ガスの削減は二の次なのだ。



経済基盤を石炭に依存している州の出身の議員は多い。たとえ民主党所属の議員であっても、出身選挙区の経済に大きな打撃を与える恐れがある政策に諸手を挙げて賛意を示すことは期待できない。



温室効果ガスの増加は、ゆくゆくは地球環境に壊滅的被害をもたらすことは明らかだ。これを少しでも削減することは、我々人類の未来のために緊急に取り組まなければならない課題である。それに比べればいささかローカルではあるが、一方で、議員個人にとってみれば、出身地域地域の経済の利益を重要視することは、その政治生命を維持するために必要不可欠である。



重要なことは、これらの反目の状況の狭間で、今後のObama氏の政策が骨抜きになる可能性があるということである。



唯一の超大国、アメリカ。その意志を決定する議員達。

彼らが世界に示す未来像は、一体どのようなものになるのだろうか。