ビタミン剤をとるな
Don't Take Your Vitamines
By PAUL A. OFFIT
June 8, 2013
NY Times, Sunday Review, The Opinion Pages
記事のてきとう訳です.
内容に関しては責任持てません.
フィラデルフィア - 先月,ケイティ・ペリーが,3700万人のツイッターのフォロワーに彼女の健康の秘訣を明かした.「LYFEのサプリとビタミンよ,これだけ」,ポップスターは書いた.同時に,彼女自身が
3つの大きな錠剤入りのバックを抱えている写真をポストした.
ケイティは言わなかったが,ビタミンの摂取は心配になる事がある.
ラテン語で生命意味するように,ビタミンは食べ物をエネルギーに変えるために必要である.十分な量のビタミンを摂取しないと,壊血病(scurvy)やくる病(rickets)などの病気になってしまう.問題はビタミンが必要かどうかではない.それらは必要だ.問題は,どれくらい必要なのかということと,食べ物には十分な量が含まれているかどうか,である.
栄養学の専門家は,推奨される日々の許容摂取量,つまり日々の食事で摂取できる量のみが必要であると指摘する.ビタミン産業界は,日々の食事には十分な量のビタミンが含まれていない,より多くのビタミンが良い,と指摘する.ほとんどの人々は同意する,少なくてもビタミンの過剰摂取は何の害にもならないと.しかしながら,ここ何年もにわたって科学者たちは知っていることだが,多量のビタミン摂取は非常に害になりえる.
1994年にイギリスの薬学に関するジャーナル(The New England Journal of Medicine)に発表された研究では,2万9千人のフィンランド人が,毎日ビタミンEとベータカロテン(カロチン,体内で代謝されてビタミンAとなる),あるいはニセ薬(placebo)を与えられた.研究の結果,ベータカロテンを5年から8年にわたり摂取し続けた被験者は,肺がんや心臓病によって死に到る率が高いことがわかった.
2年後,同じジャーナルに,ビタミンのサプリメントに関する他の研究が発表された.その中で,アスベストにさらされたりタバコを吸うなどの肺がんにかかるリスクの高い1万8千人の被験者がビタミンAとベータカロテンの組み合わせか,またはニセ薬を与えられた.ビタミンを摂取した被験者が肺がんになって死ぬリスクが46%も高くなることがわかった時点で,研究者たちは,その研究の続行をとりやめた.
2005年の内科学紀要(Annals of Internal Medicine)に発表された報告書によると,ほぼ13万6千人におよぶ19回の試験において,ビタミンEのサプリメントが死亡率を上昇させることがわかった.その年の他の研究では,ビタミンEは血管の病気や糖尿病の患者が心不全を発症するリスクを高めることが報告された.2011年,米国医師会誌(the Journal of the American Medical Association)は,ビタミンEのサプリメントの摂取は前立腺ガンのリスクを上昇させると報告した.
コクランレビュー(Cochrane review, コクラン共同計画による治療と予防に関する医療情報のレビュー)は,「ベータカロテンとビタミンEは死亡率を高める可能性が高い,同様にビタミンAの多量摂取も」ということを見つけた.
ビタミンのサプリメントの摂取とガンや死亡率との関係をどう説明するのか?カギは抗酸化物質にある.
抗酸化作用と酸化作用は良い者と悪い者と言われてきた.それらはミトコンドリアと呼ばれる細胞組織で発生する.食べ物をエネルギーに変換するために酸素が必要とされる(酸化)過程である.酸化作用の一つの帰結は,フリーラジカル(遊離基,フリーラジカル[1個の不対電子を有する原子])と呼ばれる原子の補足基(悪者)が発生することである.フリーラジカル(酸化物質)は,DNAや細胞膜,動脈にダメージを与えることができる,驚くことではないが,これらは老化,ガン,心臓病に関係があると見られている.
フリーラジカルを中性にたもつため,体は抗酸化物質を作る(善人).抗酸化物質は果物や野菜において見られ,とりわけ,セレン(Se),ベータカロテン,ビタミンA,C,Eが多く含まれている.いくつかの研究では,果物と野菜を多く食べる人はガンや心疾患になりにくく,より長く生きる傾向にあることを示している.論理は明確だ.もしも果物や野菜が抗酸化物質を含んでいて,果物や野菜を食べる人がより健康ならば,抗酸化物質のサプリメントを摂取する人も,また,より健康になる.しかし,そうはならない.
考えられる説明は,フリーラジカル(酸化物質)は言われているほど悪者ではないということである.(実際,バクテリアを殺すためや,がん細胞を除去するために必要とされる).ビタミンサプリメント(錠剤)として多量の抗酸化物質を体内に取り込んだとき,フリーラジカルの生成と消滅のバランスが崩れて体内が不自然な状態になり,有害な侵略者を退治する免疫系の能力がそこなわれる.研究者たちは,これを抗酸化物質のパラドックスと呼ぶ.
これまでの研究結果から,多量の抗酸化物質の摂取はまったく支持されていない.したがって公共の健康にかかわる組織は,ほかに悪いところのない健康な人には,それらサプリメントの使用を勧めてはいない.
ならば,なぜ我々はそれをしらないのか.なぜFDA(Food and Drug Administration 米国食品医薬品局)は,我々が,その危険性についてはっきりとわかるようにしないのか.答えは,彼らにはそれができないということだ.
1972年の12月,人々がより多量のビタミンを摂取することに危惧したFDAは,ビタミンサプリメントが,推奨される一日あたりの許容摂取量の150%のみを含むように規制をかける方針を発表した.多量のビタミンを含む「メガビタミン」を販売するときは,ビタミンメーカーは安全であることを証明しなければならなくなる.驚くことではないが,ビタミン産業は,これを驚異と捉え,規制を取り払うことに着手した.最終的には,それ以上のことをやってのけた.
ビタミン産業の重役たちは,FDAがメガビタミンを規制するのを妨害する法案を導入するために,ウイスコンシンの民主党議員,ウイリアム プロキシマイヤ(William Proxmire)を雇った.
FDAをサポートする演説は,消費者連合の弁護士,マーシャ コーエン(Marsha Cohen)であった.八つのロックメロン(= カンタロープ (cantalupensis) 《南欧産のメロン; 果面に溝があり, 果皮は厚く堅い, 芳香がある》)を目の前にならべて言った,「単に千ミリグラムのビタミンCを摂取するために,ビタミンCが豊富として知られるロックメロンを八つも食べなければならない.しかし,そこの,簡単に飲み込める二粒の錠剤はまったく同じ量を含んでいる」彼女は警告した.もしも規制を妨害する法案が通れば,「錠剤一粒で,それら全てのロックメロン,あるいはその倍,三倍,いや20倍に相当する量のビタミンCを含むようになるだろう.守るべき許容量など無くなってしまうだろう」.コーエン女史はビタミン産業界のアキレス腱をついた.ビタミン産業が勧めている多量のビタミンの摂取は異常であると.
一ヶ月後,プロキシマイヤ氏の法案は81対10で可決された.1976年,それは法律になった.数十年後,FDAの主任弁護士のピーター バートン ハット(Peter Barton Hutt)は,「あれは最も屈辱的な敗北だった」と,FDAの歴史について書いた中で述べている.
結果として消費者は,メガビタミンの摂取はガンと心臓病のリスクを増大させ,寿命を縮める可能性があることを知らない.良いものを取りすぎることによるリスクを,ずっと知らないでいるのだ.
PAUL A. OFFIT
フィラデルフィアの小児病院の感染病部に所属し,今度出版される本,“Do You Believe in Magic?: The Sense and Nonsense of Alternative Medicine.”(あなたは魔法を信じるか:代替医学の嘘と本当)の著者でもある.