2013年6月19日水曜日

計算機あれこれ

研究室の僕の机の上には,Linuxマシンに接続した少し古めのAppleのモニタがあります.一応液晶で21インチくらいの大きさです.このマシンにはHHKBの炭消しキートップのキーボードも接続して,千葉,柏にある物性研のスーパーコンピュータにアクセスしています.物性研には,SGI製とNEC製の2台のスーパーコンピュータが設置されています.これまでSGIのみ使用してきましたが,3週間にわたるNECのSX9スーパーコンピュータとの格闘の末,晴れてNECも戦力にすることができました.これは大きいメリットです.

ディスクトップのLinuxマシンは,一応,iCore7のマルチコアCPUなので,これ自体での並列計算もできます.ただスーパーコンピュータに比べると遅くて我慢できないので,もうやっていません.机の上の左すみにMacBookAir 11inchを置いています.こちらにはマジックトラックパッドのみ接続しました.机で30分も座って作業していればソファに移動したくなります.Airを持って移動するためには,外部モニタやキーボードを接続せずに機動性を確保したほうが良いのです.

そう言えば,中国のスーパーコンピュータの演算速度が一位とのニュースをききました.グラフィック演算用のボードNVIDIAを数値計算のために使用した比較的安価なマシンですね.恐るるに足らず.ガンバレ日本のスパコン! 特にNEC.ベクトルマシンの火を消さないで欲しい.


2013年6月16日日曜日

ビタミン剤をとるな

ビタミン剤をとるな


Don't Take Your Vitamines
By PAUL A. OFFIT
June 8, 2013
NY Times, Sunday Review, The Opinion Pages

記事のてきとう訳です.
内容に関しては責任持てません.

フィラデルフィア - 先月,ケイティ・ペリーが,3700万人のツイッターのフォロワーに彼女の健康の秘訣を明かした.「LYFEのサプリとビタミンよ,これだけ」,ポップスターは書いた.同時に,彼女自身が3つの大きな錠剤入りのバックを抱えている写真をポストした.


ケイティは言わなかったが,ビタミンの摂取は心配になる事がある.

ラテン語で生命意味するように,ビタミンは食べ物をエネルギーに変えるために必要である.十分な量のビタミンを摂取しないと,壊血病(scurvy)やくる病(rickets)などの病気になってしまう.問題はビタミンが必要かどうかではない.それらは必要だ.問題は,どれくらい必要なのかということと,食べ物には十分な量が含まれているかどうか,である.

栄養学の専門家は,推奨される日々の許容摂取量,つまり日々の食事で摂取できる量のみが必要であると指摘する.ビタミン産業界は,日々の食事には十分な量のビタミンが含まれていない,より多くのビタミンが良い,と指摘する.ほとんどの人々は同意する,少なくてもビタミンの過剰摂取は何の害にもならないと.しかしながら,ここ何年もにわたって科学者たちは知っていることだが,多量のビタミン摂取は非常に害になりえる.

1994年にイギリスの薬学に関するジャーナル(The New England Journal of Medicine)に発表された研究では,2万9千人のフィンランド人が,毎日ビタミンEとベータカロテン(カロチン,体内で代謝されてビタミンAとなる),あるいはニセ薬(placebo)を与えられた.研究の結果,ベータカロテンを5年から8年にわたり摂取し続けた被験者は,肺がんや心臓病によって死に到る率が高いことがわかった.

2年後,同じジャーナルに,ビタミンのサプリメントに関する他の研究が発表された.その中で,アスベストにさらされたりタバコを吸うなどの肺がんにかかるリスクの高い1万8千人の被験者がビタミンAとベータカロテンの組み合わせか,またはニセ薬を与えられた.ビタミンを摂取した被験者が肺がんになって死ぬリスクが46%も高くなることがわかった時点で,研究者たちは,その研究の続行をとりやめた.

2005年の内科学紀要(Annals of Internal Medicine)に発表された報告書によると,ほぼ13万6千人におよぶ19回の試験において,ビタミンEのサプリメントが死亡率を上昇させることがわかった.その年の他の研究では,ビタミンEは血管の病気や糖尿病の患者が心不全を発症するリスクを高めることが報告された.2011年,米国医師会誌(the Journal of the American Medical Association)は,ビタミンEのサプリメントの摂取は前立腺ガンのリスクを上昇させると報告した.

コクランレビュー(Cochrane review, コクラン共同計画による治療と予防に関する医療情報のレビュー)は,「ベータカロテンとビタミンEは死亡率を高める可能性が高い,同様にビタミンAの多量摂取も」ということを見つけた.

ビタミンのサプリメントの摂取とガンや死亡率との関係をどう説明するのか?カギは抗酸化物質にある.

抗酸化作用と酸化作用は良い者と悪い者と言われてきた.それらはミトコンドリアと呼ばれる細胞組織で発生する.食べ物をエネルギーに変換するために酸素が必要とされる(酸化)過程である.酸化作用の一つの帰結は,フリーラジカル(遊離基,フリーラジカル[1個の不対電子を有する原子])と呼ばれる原子の補足基(悪者)が発生することである.フリーラジカル(酸化物質)は,DNAや細胞膜,動脈にダメージを与えることができる,驚くことではないが,これらは老化,ガン,心臓病に関係があると見られている.

フリーラジカルを中性にたもつため,体は抗酸化物質を作る(善人).抗酸化物質は果物や野菜において見られ,とりわけ,セレン(Se),ベータカロテン,ビタミンA,C,Eが多く含まれている.いくつかの研究では,果物と野菜を多く食べる人はガンや心疾患になりにくく,より長く生きる傾向にあることを示している.論理は明確だ.もしも果物や野菜が抗酸化物質を含んでいて,果物や野菜を食べる人がより健康ならば,抗酸化物質のサプリメントを摂取する人も,また,より健康になる.しかし,そうはならない.

考えられる説明は,フリーラジカル(酸化物質)は言われているほど悪者ではないということである.(実際,バクテリアを殺すためや,がん細胞を除去するために必要とされる).ビタミンサプリメント(錠剤)として多量の抗酸化物質を体内に取り込んだとき,フリーラジカルの生成と消滅のバランスが崩れて体内が不自然な状態になり,有害な侵略者を退治する免疫系の能力がそこなわれる.研究者たちは,これを抗酸化物質のパラドックスと呼ぶ.

これまでの研究結果から,多量の抗酸化物質の摂取はまったく支持されていない.したがって公共の健康にかかわる組織は,ほかに悪いところのない健康な人には,それらサプリメントの使用を勧めてはいない.

ならば,なぜ我々はそれをしらないのか.なぜFDA(Food and Drug Administration 米国食品医薬品局)は,我々が,その危険性についてはっきりとわかるようにしないのか.答えは,彼らにはそれができないということだ.

1972年の12月,人々がより多量のビタミンを摂取することに危惧したFDAは,ビタミンサプリメントが,推奨される一日あたりの許容摂取量の150%のみを含むように規制をかける方針を発表した.多量のビタミンを含む「メガビタミン」を販売するときは,ビタミンメーカーは安全であることを証明しなければならなくなる.驚くことではないが,ビタミン産業は,これを驚異と捉え,規制を取り払うことに着手した.最終的には,それ以上のことをやってのけた.

ビタミン産業の重役たちは,FDAがメガビタミンを規制するのを妨害する法案を導入するために,ウイスコンシンの民主党議員,ウイリアム プロキシマイヤ(William Proxmire)を雇った.

FDAをサポートする演説は,消費者連合の弁護士,マーシャ コーエン(Marsha Cohen)であった.八つのロックメロン(= カンタロープ (cantalupensis) 《南欧産のメロン; 果面に溝があり, 果皮は厚く堅い, 芳香がある》)を目の前にならべて言った,「単に千ミリグラムのビタミンCを摂取するために,ビタミンCが豊富として知られるロックメロンを八つも食べなければならない.しかし,そこの,簡単に飲み込める二粒の錠剤はまったく同じ量を含んでいる」彼女は警告した.もしも規制を妨害する法案が通れば,「錠剤一粒で,それら全てのロックメロン,あるいはその倍,三倍,いや20倍に相当する量のビタミンCを含むようになるだろう.守るべき許容量など無くなってしまうだろう」.コーエン女史はビタミン産業界のアキレス腱をついた.ビタミン産業が勧めている多量のビタミンの摂取は異常であると.

一ヶ月後,プロキシマイヤ氏の法案は81対10で可決された.1976年,それは法律になった.数十年後,FDAの主任弁護士のピーター バートン ハット(Peter Barton Hutt)は,「あれは最も屈辱的な敗北だった」と,FDAの歴史について書いた中で述べている.

結果として消費者は,メガビタミンの摂取はガンと心臓病のリスクを増大させ,寿命を縮める可能性があることを知らない.良いものを取りすぎることによるリスクを,ずっと知らないでいるのだ.


PAUL A. OFFIT
フィラデルフィアの小児病院の感染病部に所属し,今度出版される本,“Do You Believe in Magic?: The Sense and Nonsense of Alternative Medicine.”(あなたは魔法を信じるか:代替医学の嘘と本当)の著者でもある.




2013年6月12日水曜日

乳がんの新治療薬


出典:New York Times, February 23, 2013, on page B3 of the New York edition
F.D.A. Approves a New Drug for Advanced Breast Cancer

記事のてきとう訳です.
内容に関しては責任持てません.


進行した乳がんの新治療薬を米国のFDA(Food and Drug Administration 食品医薬品局)が認可.2月22日,2013年.

新治療薬は,乳がん治療薬として広く用いられているハーセプチン(Herceptin)と強力な毒素を組み合わせたもので,より効果的にがん細胞を殺し,かつ副作用を軽減するとみられている.

薬はカドシラ(Kadcyla)と呼ばれる見込み.研究段階の名称は T-DM1.臨床試験において進行した乳がん患者の平均存命期間を半年間延ばした.

薬を開発したジェネテック社(Genetech)によると,開発した薬を一ヶ月間投与すると9,800ドル(98万円),典型的な治療1コースあたりで94,000ドル(940万円)かかる見込み.これはハーセプチンの倍のコストであるが(ちなみにハーセプチンもジェネテック社の製品).他の新しいタイプのガン治療薬と同程度のコストである.

同社によるとカドシラは数日内に市場にでまわる.カドシラは単クローン抗体(monoclonal antibodies)として知られるタンパク質に毒素を組み込んだ新しいタイプの薬で,この種のものでは最も成功したものである.抗体は腫瘍に取り入り,毒素のミサイルを撃ち込む.この毒素は腫瘍に入るまで活性化していないため正常な細胞には働かず,副作用は低減される.

このような抗体-薬の結合(共役)(antibody-drug conjugates)を使った薬は,ガン治療薬の開発において熱心に研究が進められており,現時点で数にして20ほどが臨床試験の最中である.シアトルのジェネテック社によって開発された,抗体-薬共役薬,Adcetrisは,2つの希なタイプのリンパ腫の薬として2011年に承認された.

カドシラにもちいられる毒素と,それを結合させるものはウォルサム(米国 Massachusetts 州の工業都市)のイミューノジェン社(ImmunoGen)が作ったもので,イミューノジェン社はロイヤリティを受け取る.過去30年にわたり抗体-薬の共役薬を研究してきたイミューノジェン社にとってはこれが初めて認可された薬である.

カドシラが認可されたのは,ハーセプチンやパクリタキセルのようなタキサン系抗がん薬(taxane chemotherapy drug, like paclitaxel)による治療にもかかわらず症状が悪化していた,991人の転移性,乳がん患者に対する臨床試験による.このうち半数がカドシラを投与され,他の半数がタイケルブ(Tykerb.別名lapatinib)とゼロータ(Xeloda,別名capecitabine)の二つの薬を投与された.タイケルブもゼロータも現在,一般的に使用されている薬である.

カドシラを投与された患者は,平均30.9ヶ月存命したのに対し,二つの薬を投与された患者は平均25.1ヶ月存命した.病状が悪化するまでの平均時間はカドシラを投与された者が平均 9.6 ヶ月であったのに対し,他の薬を投与された者は平均 6.4 ヶ月であった.

高い効果を発揮するにもかかわらず,カドシラの副作用は少ない.カドシラを投与された患者の43%に強い副作用が見られたのに対し,二つの薬を投与されたほうは59%に強い副作用が見られた.

一方で,カドシラのラベルには,肝毒性(liver toxicity),心毒性(heart toxicity),死にいたる危険性があるとの警告が記載されている.先天性の異常や死産も引き起こす可能性があるため,妊娠の可能性のある年代の女性は,避妊薬を同時に摂取することが進められている.

ハーセプチン(トラスツズマブ trastuzumabとしても知られる)は,乳がんの細胞HER2の表面のタンパク質に結合する.カドシラは好トラスツズマブエムタジン(ado-rastuzumab emtansine)としても知られ,ハーセプチンを取り込むので,HER2がん細胞が多い約20%の乳がん患者ケースにおいて使用を認められた.

カドシラの使用が認められたのは,ハーセプチンやタキサンが効かなくなった患者たちであった.しかしながら,ジェネテックを所有するスイスの会社ロシェ(Roche)は,転移性のがん患者の初期治療にもテストをはじめている.6月に認可の下りた薬ペルジェタ(Perjeta)はHER2性がん細胞に関しての薬であるが,これとの併用もテスト中である.

ロシェは,カドシラとペルジェタが,より安価なハーセプチンに分子構造の似た新薬,ジェネリック薬のようなものが市場にでまわるときにはハーセプチンを少々時代遅れにしてくれるものと期待している.ハーセプチンの米国での特許は2019年に切れる.

2012年のハーセプチンの世界での売り上げは,59億スイスフラン(63億ドル,6300億円).2012年に最も販売されたガン治療薬.

だそうです.

2013年6月9日日曜日

第一原理計算


第一原理計算という計算方法で物質の電子状態を求めています.第一原理の精神は,パラメータを一切使わずに,物質を支配する第一の原理から計算をするということ.

なぜそのようなことをするのか.実験で測定すれば良いのではないか.

もちろんそうなのですが,この計算法の良いところは,未だ作っていない物質についての予測能力があるということです.こうゆう特性をもった物質が欲しい.それならば計算機の中で数値的に物質を作りだし,計算で特性を測定しよう.そうゆうことが可能な計算方法です.

一言で言うと,科学理論に基づいた錬金術のようなものです.

計算が膨大なのでスーパーコンピュータで計算をしています.千葉県,柏にある東京大学物性研究所のシステムAとシステムBです.システムAはNEC製のSX-9.4ノード64CPUのベクトル計算機.システムBはSGI製.3840CPU(×4コア)の並列計算機.

CPU単体の性能はシステムAが優れています.ですが,たとえば64個のCPUを並列にした計算をシステムBで実行すると,見かけ上,64×4=256個のCPUで並列計算をしたかのような素晴らしいパフォーマンスを発揮します.理想はシステムAとシステムBとをケースバイケースで使い分けすることです.

今使っているのは,オーストリアのウィーンで開発された計算コード.

ソースコードで提供されています.コンパイルが難しい!
どちらのシステムもクセが強くて.