インド中北部、マディヤ・プラデーシュ州の州都、ボパール。ここの中心地にあるユニオン・カーバイド社の殺虫剤製造工場で、1984年、有毒ガスの大量流出事故が発生した。被害は甚大で総勢2500人以上の死者と10万人以上の罹災者を数えた。
あれから二十数年。依然として問題は解決を見ていないようだ。
ヘラルド・トリビューンの記事によると、これらの事故について、インド政府は、以前として何の有効な対策も打ち出せていない。それどころか、むしろ問題を忘れ去ろうとしているらしい。
問題は、あたりに大量にまき散らされた有毒な汚染物質にある。ゆっくりと土壌にしみこんだそれらの毒は、その地域の地下水を極度に汚染する源となっている。さらに悪いことに、この汚染は今現在も悪化の一途を辿っている。
おどろくことに、今現在でも多くの人々が、そこで生活している。汚染物質が大量に流れ込んだ工場隣の沼地では、暑い日には子どもと犬が水浴びをする。雨が降れば、沼の水は溢れかえり、あたり一面に氾濫する。
記事では、今なお近辺に住む多くのスラムの人々に汚染が原因と思われる病気が蔓延し、かれらの幼児ばかりか胎児までもが過酷な汚染物質の悪影響を受けつづけている現状について生々しく報告されている。
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先進国と呼ばれる国々の「大企業」は、生産工場を中国やインドなどの海外に移転することで利益を上げてきた。中国をはじめ「世界の工場」と呼ばれる国々 は、意図せずとも同時に、世界の「汚染物質製造拠点」ともなろうとしている。これは直接的な「汚染物質」の問題に限らない。地球温暖化の原因であるガス、 二酸化炭素、CO2についても同様である。
近年、国内の大企業が自国のCO2排出枠の制限を逃れるためだけに、その制限枠のない発展途上国に工場を移転することが試みられている。しかも、その傾向は年々増している。
しかしこの企業戦略のどこに、人類全体の福祉を見据えた長期的視野に立つ人道主義、が存在し得るのか。
追記:米国ミシガン州に本拠をもつダウ・ケミカル社は、1999年、ユニオン・カーバイド社を930億ドルで買収している。事故の後始末についてダウ・ケミカル社は非常に消極的である。
1999年には
ユニオンカーバイドを930億ドルで買収し、
デュポンに代わり世界最大の化学メーカーとなった。