基本的に強結合近似(TB法)に基づくので、いわゆる第一原理的な電子構造計算に比べ、その計算コストが格段に軽いことが強調された。炭素系における共役な結合も記述可能な柔軟さを併せ持つことなどから、より大規模な、電子構造を考慮したMD計算に適したアルゴリズムであることが指摘された。
後半はDFTBをナノチューブやC60に適用した例が示された。それらの成長過程をDFTBでシミュレートした結果がスナップショットで提示されたが、その計算自体、かなりの労力と忍耐を必要とされるものと見受 けられた。この規模と品質の計算結果を得るためには、事前の綿密な計算計画が必要とされる。しかし一方で、たとえ最新のスーパーコンピュータの能力をフルに利用できる 環境にあったとしても、同等な結論を得るまでには、かなり長時間にわたってCPUのリソースを占有する必要があったことであろう。氏は70代前半と思われるが、そのお歳を感じさせない、非常にエネルギッ シュな講演であった。
なにはともあれ無事に発表を終える。その後、市内の見物をはじめ、太宰府へのお参りも果たすことができた。
「学会関係者か?」。
離陸後は窓の外を眺め、何するとも無しにぼーっととして過ごしていた。しばらくしてベルト着用のサインが消える。なにやらごそごそと隣が騒がしくなってきた。足下にあるご自分のバッグからノートPCを取り出すようだ。「はは~ん、研究のデータ整理をするのだろうな・・・」。スイッチを入れたようだ。
キャビンアテンダントが注文を聞いてきた。眠気覚ましにコーヒーを注文する。ポットから注がれたコーヒーを受け取り、ミルクと砂糖を御願いする・・・隣席にあるノートPCのディスプレイの様子がチラリと目に入る。
このとき心底驚いたのである。
そこには大きなお目々をしたセーラー服のお嬢さんの、かわいらしいアニメが上演されていたのだ。氏は顎に片手を添え、とても真剣にフムフムと頷きつつ鑑賞している。ヲタクさんだったようだ・・・
* * *
しかし考えてみれば、私自身、 ベクトルは多少異なるが同じようなヲタクであることには違いない。
最近の報道(Nature)によると、ネアンデルタールと人類の直系の祖先は同じ時代を共存して過ごしていたらしい。ネアンデルタール人は、その意味で、人類の祖先から分岐した種というよりも、むしろ我々の遺伝子の一部を成す直系の先祖の一つと見なすべきであろう。
ヲタク文化について、その蘊蓄を傾けることはできないのであるが、もしかしたら隣席の氏は一般的な人類と平和的に共存している現代のネアンデルタール人とも言えるかもしれない。私自身、立派なネアンデルタール人的ヲタク種族の一人である。ヲタク=プロフェッショナルと肯定的にとらえるとするならば、多くのヲタク種族にとって、ヲタクと見なされることはむしろ栄誉となるのであろう。
ヲタクと一般的人類、お互いに平和的に共存したいものですネ ;-)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。