2016年5月1日日曜日

人工芝の発がん性

【Forms 記事】人工芝の発がん性、英大学が「潜在的リスク」を確認
2016/03/30 10:01
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上記の記事のようにいかにも人工芝に関連があるかのように見せる解説はやりすぎですね。

第一、タイヤ扱っている人が全てリンパ腫や白血病になるとイエローハットに従業員がいなくなってしまいます。タイヤ製造工場や人工芝製造工場も死亡者多数でつぶれてしまいます。夏タイヤと冬タイヤの交換作業も命がけ。

冗談はさておき、タイヤのゴムは、ベンゾチアゾール(肌と目に刺激)、ブチルヒドロキシアニソール(発がん物質)、n-ヘキサデカン(刺激性)、4-(t-オクチル)フェノール(粘膜にわるい)、などの有害物質を含みます。ほかに微量ですがZn, Cd, Pbなどの重金属も含んでいます。重金属は多量に摂取すると神経系に良くないことはわかっています。しかし、だれもそんなことを心配していません。ほとんど体内に取り込まれないからです。

米政府も「ブチルヒドロキシアニソールの発がん性はわかってる」というだけで、人工芝がどうのこうのと言っているわけではない。そもそもデータが無いのでなんとも言えない。

調べるとしたら、選手がプレー中に人工芝を(あやまって)摂取してしまう可能性とその量を確定するのが先。皮膚に接触するだけなのか、あるいは鼻や喉の粘膜に付着するのか。どれくらい体内に取り込まれるのか、それらの体内の残留期間はどれほどか。

ほんものの芝でも肥料を与えたり場合によっては着色もするので、プレー中にそれらの化学物質の暴露します。「ほんものの芝と人工芝のどちらが・・・」なんて声高にNBCニュースあたりがキャンペーンを張れば、公的機関も「本物の芝の毒性」について調べ始めるかもしれません。

同様な問題に古タイヤを沈めて岩礁にしようとしたフランスやアメリカの例もあります。
こちらは海の中で引き回されてずたずたになり、環境破壊が叫ばれています。



「廃タイヤの人工魚礁、狙い外れ海洋環境に悪影響」

【AFP】  2015年06月02日 15:26 発信地:ブレスト/フランス
http://www.afpbb.com/articles/-/3050577


「人工芝戦争」

Law360, New York (December 14, 2015, 11:26 AM ET) --
William L. Anderson Emma K. Burton 
https://www.crowell.com/files/20151214-Turf-Wars-The-Attack-On-Crumb-Rubber-Synthetic-Turf-Anderson-Burton.pdf


2016年3月5日土曜日

福島に甲状腺ガンの増加のきざしは無い。

THE BREAKTHROUGH の記事より 

【原稿第3版、日本語修正、半分くらいまで】
オリジナル記事

http://thebreakthrough.org/index.php/issues/nuclear/nopetheres-no-thyroid-cancer-epidemic-in-fukushima


いいや、— 福島では甲状腺ガンは流行していない。
子供の甲状腺ガンに関する研究結果がメディアを賑わせている 
流行などしていないことが他の研究で証明されているのにもかかわらず。

2015年10月18日 筆者 ウイル・ボイスバート (Will Boisvert)

福島の原発事故に由来する放射性ヨウ素に曝された子供達に甲状腺ガンが大流行しているとの研究が発表された。しかし最近発表された別の論文では、福島の甲状腺ガンの発生比率が事故によって汚染されていない遠隔地のものと比べても高くないことが示されている。さてどちらの研究が世間の注目を集めていて、どちらが全く注目されていないのか。

人騒がせな研究がスポットライトを浴び、正しいものが無視されるものだと考えるのならば、あなたはこの反核ヒステリーによる悪意ある関連付けや、科学の主流から逸脱した研究者とジャーナル編集者の野心、およびセンセーショナルなストーリーに目が無いニュースメディアについて良く理解できている。いかに科学と健康、すなわち放射線リスクに対する一般の理解をゆがめていることか。

恐ろしい甲状腺ガンの流行しているとの警告 — 活動家ヘレン・カルディコット(文献 1)の記事「核の犠牲となった子供達」 は、2011年の事故以降、あちこちで取りあげられてきた(放射線の専門家は福島における放射性ヨウ素の吸収線量は甲状腺ガンの有意な発生比率の上昇をもたらすには小さすぎると反論しているにもかかわらず。)

先週、学術誌の疫学ジャーナル(Epidemiology)に生態学者である岡山大学の津田敏秀氏と共同研究者たちが、福島でガンが流行していることを示す証拠を掴んだされる論文を発表した(文献 2)。

彼らは福島県による甲状腺ガンのスクリーニング検査と治療の統計データに注目した。事故のときに19歳以下であった298,577人中、過去4年間に110人の甲状腺ガンのケースを見いだした;これは1年間100万人あたり92例の甲状腺ガン患者に相当する。彼らはその結果を2007年の報告、すなわち年間100万人あたり3例の甲状腺ガン患者であるとの発生比率の報告と比較をしている。その結果、福島では通常の30倍も甲状腺ガンになりやすくなったと結論づけている。彼らの論文はニュースメディアを賑わせ、コロンビア大学の著名な放射線生物物理学者デイビッド・ブレナー(David J. Brenner)までもがAP通信のインタビューに、福島の甲状腺ガンの流行は”現実である”と応える事態となった。(文献 3)

しかし本当に福島で甲状腺ガンが流行しているのか? そんなことは無い。津田氏の研究論文の結論は、不正な方法論と欠陥のある論理、およびとてつもない事実誤認の産物である。

問題は基準とした比較対象の診断方法が、福島で甲状腺ガンのスクリーニング検査に使った方法と異なることにある。福島では、数十万人の子供に非常に感度の高い超音波による甲状腺スキャンが実施された。普通、自覚の無い子供は甲状腺の検査を受けない。子供は甲状腺異常の症状があるとき、もしくは喉の触診でわかるくらい腫瘍が大きくなって初めて超音波スキャンの検査を受ける。しかし福島では健康な子供達も超音波スキャンの検査をうけた。通常、おとなになってから初めて顕在化するような小さな、非常にゆっくりとしか成長しない腫瘍すらこの検査で見つかった。したがって福島の甲状腺ガンの比率と比較する正しい基準値の検査は、福島で行われた超音波によるスクリーニング検査を他でも実施することである:

すなわち(文献 4)

ステップ1 将来ガン化するかもしれない小瘤(小さな肉質の塊)や嚢胞(分泌液がたまり袋状になったもの)を見つけるために自覚症状の無い子供数千人に超音波による甲状腺スキャンを実施する。

ステップ2 直径5.1ミリより大きい小瘤、または20.1ミリより大きな嚢胞に対して第二次の超音波検査を実施する(これらはほぼ全て小瘤である)

ステップ3 外見上好ましくない小瘤に対して生体検査を実施し、悪性かどうか確かめる

津田氏が比較基準とした年間100万人あたり3例の甲状腺ガン患者との数値は、通常の医療行為、すなわち症状があり触診によって診断されたものであって、非常に少ない比率でしか悪性腫瘍を検出できない。つまり全く異なるリンゴとオレンジを比較するようなことをした結果、まるで福島の甲状腺ガンの比率が異常に高いかのようなことになってしまったのだ。

しかし正しい「リンゴとオレンジ」の比較法が最近の研究で確立された - シンプルな方法で:福島から離れた所に住む — 余分な放射線に曝されていない — 子供たちに対して福島で調査された手法とおなじ超音波スキャンを実施し、甲状腺ガンの比率がどうなのか調べる。その結果、福島の子供達とほぼ同じ比率であった — つまり突出して大きな値であるとされた福島の比率は極めて通常値であることを意味する。しかしながらガンの流行論のウソを確実に打ち砕くこの研究はメディアのヘッドラインを賑わすことも無く跡形も無く忘れ去られた。

政府の資金を元に長崎大学の林田直美氏とその共同研究者によって、地理的に福島から離れた青森、長崎、山梨の各県の3才から18才までの4,365人の子供達に対する甲状腺スキャンが実施された。

潜在的にガンとなるかもしれない甲状腺の異常の比率は — 小瘤と嚢胞 — 福島の値よりも「高かった」(文献 5)。つまり同様のスクリーニング検査を実施すれば、福島の子供達の甲状腺は他のエリアの子供達と同様に健康的であるということだ。

昨年3月に発表されたフォローアップ論文(文献 6) — もちろんメディアには黙殺されているが — で、林田氏のグループは甲状腺ガンを詳細に調べている。2年間にわたり、4,365人の子供達のうちの1人が甲状腺ガンと診断された。(林田氏のグループによる基準検査における子供達の4.5%という値と比較して、福島県における甲状腺ヒステリーのためにいくらかは見落としがあるのかもしれない(文献 7)。) 

もちろん1人という数は大きな数では無い。しかしこれは実は年間百万人あたり115人の甲状腺ガン患者数に相当する。津田氏の論文における比較対象の基準値である100万人あたり3人という数値の38倍の数値に相当し、その基準値より30倍高いとする津田氏らの福島の子供達の甲状腺異常比率よりも高いのである。

論文で津田氏らは林田の研究とそのカギとなる数値データにも触れている(しかしながらそのことを主となる論文とは分けて補足説明の書類に埋没させている)(文献 9)。津田氏らがやらなかったことは林田氏の研究が示したことを読者に紹介しなかったことだ:福島のガン発生率が上昇したとの彼らの言い分は途方も無く誇張されたものである。過剰な放射線に曝されていない健康的な子供達においても超音波スクリーニングは「通常」の基準診断よりも何倍もの甲状腺の異常とガンを見つけ出す。福島でガンが流行しているとの主張は間違った基準を用いた人を惑わすような比較に基づいている。

実はこのどれもが甲状腺腫瘍の「(症状が出ずに)潜伏する」ことに関する文献を知るものを驚かせることはない。ある日本の検死解剖の研究例では死亡者の実に11.3%の人々が診断未確定の甲状腺ガンであった(文献 10)(一方、およそ0.5%の日本人が生存中に甲状腺ガンと診断される。)(文献 11) 死亡者に見つかった甲状腺腫瘍の多くは小さかったが、死亡者の1%は福島での閾値とされる5ミリよりも大きな腫瘍であった。このことは大きな甲状腺腫瘍の真の罹患率、診断されうるが潜伏している率は、一般の人々に対しておそらく 1.5% であるということを示唆している。一方、福島での検査集団でのその値は 0.042%である。(文献 12)もちろんこの罹患率は検査集団の高齢化に従って上昇するが、それが異常に高い値になるのはまだまだずっと先のことだ。

一方、林田氏の研究は非の打ち所がないもので、放射線と甲状腺ガンのエキスパートを納得させるものである。これまでの多くの研究と同様、潜伏していて害の無い甲状腺腫瘍を持つ者の割合は甲状腺腫瘍と診断された人の割合よりもずっと多いことを示唆している。これは甲状腺ガンにかんする誤った通念を打ち砕く論文となったろう。一方、福島の甲状腺ガン比率の上昇を報告した津田氏の研究は練られてはいないもので、これまでの研究報告と目眩がするほど異なっていて、診断での比率との比較という明らかに誤った手法に基づいている。これは結論と異なる不都合な証拠を故意に隠蔽している。この研究はレフリー審査をパスすべきではなかったほどひどいものである。しかしながら発表されてしまったし、広くあちこちで引用されている、一方、林田氏の研究は注目もされずに埋もれたままだ。


ならばなぜ記事における理解とインパクトに相反する違いがうまれるのか。科学界には放射線の恐ろしい健康リスクや悪影響を発表することを好む傾向がある。科学者達はそのような研究こそ論文として発表できる確率が高くなることを知っていて、ジャーナリストやおちつかない読者たちは、そのような論文こそクリックしたがる。強い効果へのバイアスは科学論文の結果をゆがめるが — しかし多くの場合、そのような結果は他の研究者たちが追試をしようとしたときに誤っていることが判明する。(文献 13)


to be continued


参考

Confusing overdiagnosis for an “epidemic” of thyroid cancer in Japan after Fukushima

https://www.sciencebasedmedicine.org/confusing-overdiagnosis-for-an-epidemic-of-thyroid-cancer-in-japan-after-fukushima/

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1. http://www.helencaldicott.com/the-nuclear-sacrifice-of-our-children/

2. http://journals.lww.com/epidem/Abstract/publishahead/Thyroid_Cancer_Detection_by_Ultrasound_Among.99115.aspx

3. http://bigstory.ap.org/article/9bd0b3e588634b908193939638126250/researcher-childrens-cancer-linked-fukushima-radiation

4. http://fmu-global.jp/?wpdmdl=169, First-round thyroid screening.

    http://fmu-global.jp/?wpdmdl=170, Second-round thyroid screening

5. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3871687/pdf/pone.0083220.pdf

6. http://www.nature.com/articles/srep09046#t1

7. http://fmu-global.jp/?wpdmdl=169

8. http://www.nature.com/articles/srep09046#t1

9. http://links.lww.com/EDE/A968

10. http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/1097-0142(19900301)65:5%3C1173::AID-CNCR2820650524%3E3.0.CO;2-2/pdf

11. http://www.who.int/ionizing_radiation/pub_meet/fukushima_risk_assessment_2013/en/ p. 58.

12. 127 total cancers, including 15 from the second-round screening, among about 299,000 screened. http://fmu-global.jp/?wpdmdl=169  http://fmu-global.jp/?wpdmdl=170

13. http://www.nature.com/news/first-results-from-psychology-s-largest-reproducibility-test-1.17433

14. http://www.nature.com/news/how-scientists-fool-themselves-and-how-they-can-stop-1.18517

15. http://bigstory.ap.org/article/9bd0b3e588634b908193939638126250/researcher-childrens-cancer-linked-fukushima-radiation

16. http://yurikageyama.com/category/news/

17. http://www.npr.org/sections/thetwo-way/2015/10/08/446873871/fukushima-study-links-childrens-cancer-to-nuclear-accident

18. http://www.nature.com/news/how-scientists-fool-themselves-and-how-they-can-stop-1.18517


2016年3月2日水曜日

ラズパイとPython

来年度の 遊びネタを仕入れてきました。Linuxが動くコンピュータ基板のラズパイと計算処理言語のPythonの入門書。ラズパイはセンサとかいろいろつけて遊びます。Pythonは科学技術計算にも使えそうなので。
後ろは水冷のLinuxマシンのディスプレイ、隣のブラックキーボードはメインマシンのMacBookAir 11inchに接続して使ってます。


2016年1月13日水曜日

論文

論文です。

Collapsed armchair single-walled carbon nanotubes as an analog of closed-edged bilayer graphene nanoribbons

Masayuki Hasegawa, Kazume Nishidate, and Noriyuki Yoshimoto
Phys. Rev. B 92, 245429 – Published 18 December 2015
Recently, radially collapsed single-walled carbon nanotubes (SWCNTs) have been recognized as an analog of closed-edged bilayer graphene nanoribbons (GNRs). To explore this analogy, we first make detailed analyses of the radial deformation and collapse of armchair SWCNTs using the density functional theory with van der Waals corrections.

2015年1月12日月曜日

携帯ユーザーに朗報

携帯ユーザーに朗報

電磁波とガンを結びつけるデマが蔓延しています。身近なところではIHや電子レンジ、WiFi、携帯電話などがガンの原因に!、との「あおり」記事です。

結論から言って、どんなに携帯を使ってもガンの原因になりません.最近,スエーデンの研究者が「やっぱりガンになる危険性があるよ」っていってますが,サンプルのピックアップ法と相関の見いだし方に問題があります。

サンプルの抽出にケースコントロール法が使われています.
 ・ガンの方(a)を探してくる(ケース:症例)
 ・比較のために、年齢と性別が同じような人で、ガンではない方(b)も探してくる。
 ・双方の違いについて調べる.ここでは「携帯を使っているかどうか」。

比較対象の(b)のサンプルは沢山存在しているのに対して,元々の(a)がもの凄く少ないことが問題です.ガンと診断されて治療中の方々は比較的若く,皆さん,携帯つかっているでしょう.つまり,携帯を使っていないでガンという例が元々少ない.

米国において、1997年から2008年における腫瘍(Glioma overall)の発症例のグラフがあります.この時期、携帯が爆発的に普及してきました。その普及度合いによって、ガンの数も爆発的に増加するはずです。

青の実線が症例値で、携帯が普及してきても、ほぼ17例/10万人の割合を保っています。「ガンになる危険性があるよ」って言っているスエーデンの論文に従うと赤い点線のように推移するはずです。「調べてみても相関が無かったよ」って言っている、他の2本の論文の結果は緑の点線と茶色の点線です。

結果は明らかです。

http://fivethirtyeight.com/features/cellphones-do-not-give-you-brain-cancer/

2014年10月23日木曜日

ソーラーパワーの経済学

EUのレポートによると,ソーラーパワーは経済的にコストがかさむという結論でした.風力発電やら水力発電よりずっと悪いみたいです.

発電プラントを動かすためのコスト,気候変動,汚染,資源の枯渇に対する影響などを総合的に評価しています.1時間当たり1メガワットの発電するためのコストは,石炭やガスプラントは $64,風力は$102,原発は$115,大規模ソーラープラントは$127とのことです.

ソーラーセルは,ほぼ中国で生産されていますが,そこでは電気は石炭でまかなわれます.太陽電池の生産には貴重な金属資源が欠かせないという事実のあわせて,総合的に経済的インパクトを見積もったようです.

*リンク
・解説記事
・EUのレポートPDF


2014年10月14日火曜日

Hooverさんの論文の共著者,Stronzo Bestialeさんについて

非平衡分子動力学のパイオニアHooverさんの著名な論文の共著者,Stronzo Bestialeさん.この名前は,イタリア語でTotal Assholeということ.無理矢理直訳すると「完全なる大馬鹿者」・・・.

・イタリアコモ湖の国際会議でのアイディアを原稿にする
・PRLやJournal of Statistical Physicsに投稿
・革新的すぎると掲載を断られる
・パリ行きの飛行機の中でご婦人達がこの語句を連発
・同じく分子動力学法で有名な友人のCiccottyさんに意味を尋ねる
・それが気に入って,共著者として加え,ついでに原稿のタイトルだけ書き直して
 再提出.

アクセプトされ掲載.

私が言うのも恐れ多いですが,Hooverさん,いたずらっ子.

リンク:
・オリジナル記事
・論文