5月6日、NYの市場が一時的ながらパニックに襲われた。
急騰した電子取引を一時的に緩やかにさせるために設定されたコンピュータのプログラムコードが、P&Gなどの優良株に対して、十数分間コントロールできないほどの大量の売り注文を発行した。プログラムに欠陥があったのではないのかと調査が進められている。一方で、高頻度取引が市場のパニックに対して果たした役割についても調査が進められている。
New JerseyのRED BANKに、そのオフィスはある。なんの変哲もないビルのオフィスに設置された超高速コンピュータがネットワークを介して株券を売買している。一日あたりの取引は実に八千万株にのぼる。大量に株を買い、瞬時に売りに出す。長く保有したとしても、ほんの数秒間に過ぎない。高頻度取引(high frequency trading)と呼ばれる所以だ。もちろん数秒間のうちに変動する価格は微々たるものであろうから一度の取引で大もうけは期待できない。しかし大量に高頻度に取引をすることで、それらの微々たる儲けをかき集めてくることができる。これらの繁雑な作業を全てコンピュータが自動でやってくれる。取引の手数料を差し引いても儲けが出るということは、非常に効率的な取引をやっていることの証明でもある。米国内の株取引の実に40%から70%までをも高頻度取引が担っているとの推計もなされている。
高頻度取引を物理的に単純化して、その儲ける仕組みを考えてみる。ある高頻度取引の会社Aのコンピュータが10万株を市場に売りだしたとしよう。他の市場参加者、すなわち一般の投資家や他の高頻度取引のコンピュータが、その株を買い控える。じわじわと株価が下がり続ける。数秒後に、その株を安く買い戻す。その間も、市場では株価が下がり続ける。買い戻した株をまた売り払う。市場に株が溢れる。こうして確実に利鞘をかせぐことができる。
5月6日、高頻度取引を実行していた高速コンピュータの取引を監視していた管理者は、市場の動向になにかしらの異常を感じ、コンピュータに、全ての持ち株を売り払い、取引を中止するよう命じた。同様に、全米各地の高頻度取引業者が、コンピュータに取引中止の命令を出した事がわかっている。それが引き金となり、市場の混乱を招いたのではないか。何かしら規制が必要なのではないか。高頻度取引の台頭に危機感を抱いた政府関係者を中心に調査委員会が設けられている。今後の行方を注視したい。
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